Peatland Mapping ~泥炭地管理を通じた気候変動への対策~
概要
本事業は、無償の光学衛星と高空間分解能DTMを用いて、熱帯泥炭地の広がりをマッピングし、泥炭体積を推定するソリューションである。泥炭地の広がりは、過去および現在の光学衛星から泥炭地特有の植生を抽出することで推定できる。泥炭体積は、DTMから推定されるピートドームの凸状地形と、ボーリング調査で得られた泥炭深との相関関係を用いてモデル化される。この手法は、インドネシアにおける2年間の科学競技会において泥炭賞を受賞し、100万ドルの賞金を得た。続く2年の間に、インドネシアの熱帯泥炭地の15百万ha以上がマッピングされた。図は、泥炭地の広がりを識別し、泥炭深さをモデル化するワークフローを示している。
詳細
■リモートセンシング衛星データの活用方法
泥炭地の広がりを決定するため、Sentinel-2とLandsatの時系列データを用いて泥炭地特有の植生が抽出される。特に、1970年代から画像を取得しているLandsatは、伐採や火災によって泥炭林が失われる以前の森林の様子を再現することができるため、泥炭の広がりをマッピングするのに有効である。泥炭の体積は、ピートドームの凸状地形と泥炭の深さの相関を使用して、エアバスによって配布されたWorldDEM-DTMを使用してモデル化される。
■成功のポイント
・RSSは、 2018年2月にインドネシアの泥炭復興庁からこの方法に対して高い評価を得て、インドネシア泥炭賞を受賞した。
・この方法は現在、インドネシアの泥炭マッピングの標準的手法として確立されている。
・RSSは現在、この方法を用いて106ヵ所の集水域をマッピングする契約を交わしている。
■利用者やパートナーとの関係
RSSは、全ての衛星データを異なるデータ提供者から取得し、自身で全ての画像処理を行っている。 WorldDEMを使用することで、精度とコストのバランスが最適になることが分かった。 ピートドームを可能な限り高い精度でマッピングする必要がある場合は、WorldDEMの代わりに航空機LiDARを使用することが出来る。インドネシア政府に対しては、最終的なプロダクトと幅広いトレーニングプログラムが提供される。
■波及効果
・この方法を用いることで、泥炭復旧活動(例えば、ダムの建設計画)を事前に、そして非常に効果的に計画することができる。
・この方法は、インドネシアの泥炭地識別において、高いレベルの標準化を保証する。
・将来的には、東南アジア、アマゾン、アフリカの他の泥炭地地域に拡張することができる。
その他
資料 : 内閣府グッドプラクティス集より引用