衛星情報を利用したブランド米の生産支援 ~ブランド米「青天の霹靂」の品質管理における衛星画像の利用~

概要

登録日:
Oct 10, 2021

青森県のブランド米「青天の霹靂」では、高品質な米の生産を支援するため、青森県津軽地域の13市町村で衛星情報の活用を進めている。衛星画像から収穫時期を水田一枚ごとに予想する「収穫適期マップ」を作成してWebアプリで提供し、農家はスマートフォンなどの携帯端末で同マップを閲覧して適切な時期に収穫する。このほか、食味の目安となる玄米タンパク質含有率や土壌の肥沃度も衛星画像からマップ化し、そのデータを基に営農指導員が農家に生産指導を行なうなど、衛星情報を高品質米生産に役立てている。

詳細

■リモートセンシング衛星データの活用方法

稲の育ち具合の差が、その色合いの違いに表れることから、衛星で水田の色を観測している。また、穂が出てから収穫できるまでの日数は、毎日の平均気温の積算が目安になるため、気象庁のアメダス(自動気象データ収集システム)の気温データも用いている。気温の積算情報と衛星画像による水田の色合いから、収穫に適した日にちを水田ごと予測している。

また、米のおいしさを左右するタンパク質含有率については、栄養状態による稲の色の違いから、水田の土壌の肥沃度は土の色の違いから推定可能なため、それぞれの把握に人工衛星から撮影した画像を利用している。

■成功のポイント

・「青天の霹靂」の水田は津軽地域の大部分に広がっているため、撮影面積は3000キロ平米ほどとなり、航空機でカバーするには時間とコストがかさむ中、人工衛星であれば一度で十分に撮影でき、コストダウンにもつながる利点を活かした。

・収穫時期を水田一枚ごとに予想する「収穫適期マップ」をWebアプリで提供し、農家はスマートフォンなどの携帯端末で手軽に閲覧できる仕組みを作った。

・県が旗振り役となり関係団体が連携したことで、マップ作成のための現地調査を分担し、情報活用する体制が産地全域で構築できた。

・Webアプリについて、営農指導員などの利用者からの感想をフィードバックし、より使いやすい仕様に改良した。

・衛星データ利用に向けた技術開発は、2009年から農研機構農業環境変動研究センター等の技術支援を受けて取り組んできた。

■利用者やパートナーとの関係

県や農協などの関係機関と連携し、産地全域で高品質米生産の支援に取り組んでいる。

2016年から取り組みを開始。収穫時期には、営農指導員の全員が収穫指導に衛星情報を活用しているほか、毎年500名前後の農家が情報を基に適期収穫を進めている。

■波及効果

・「青天の霹靂」では、衛星情報を利用した生産管理の徹底等により、デビュー以来5年連続で食味ランキング「特A」に評価され、同一産地の一般米に比べて2割以上高い価格で販売できている。

・農産物の高品質化を目指した衛星利用が全国に拡大することで、国産農産物の競争力の向上が期待できる。

・農業分野での衛星データ利用が拡大することで、衛星撮影の需要が増加する。また、市場原理が働くことで、衛星事業者からの画像調達コストの低減やサービス向上が期待できる。

その他

・2018年 第3回宇宙開発利用大賞「農林水産大臣賞」受賞

・本取り組みは、生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」 「SIP(戦略イノベーション創造プログラム)」の支援を受けて実施。

資料 : 内閣府グッドプラクティス集より引用

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